【第16回】薬剤師のこれからを語ろう。令和4年度「調剤報酬改定」について語ろう Part3

2022年4月22日

株式会社ファルモニ
中里、佐藤、大井、山口、渡辺

参加者:4名

【第16回】薬剤師のこれからを語ろう Part3

令和4年度調剤報酬改定をどうとらえるか

「対物」から「対人」へシフト
医療機関との連携、患者さんとの関係性が求められ、「差別化」が鍵となる
評価:調剤基本料、調剤料→調剤管理料、服薬管理指導料など

対物業務と対人業務

調剤料が薬剤調製料(対物)と調剤管理料(対人)に切り分けられる

改定率

診療報酬全体 +0.43%(医科+0.26、歯科+0.29、調剤+0.08)
薬価等 -1.37%

調剤基本料

基本的に変更はなし
同一グループ300店舗以上の大企業は点数変更の影響あり
フランチャイズ契約の店舗数も300に含まれる

地域支援体制加算

体制、実績を踏まえた評価体系になり4区分に細分化される
調剤基本料1で実績がある薬局は加算2が新設される

地域支援体制加算1

38→39点に変更
在宅実績12回→24回

地域支援体制加算2

47点
実績要件3つ以上満たす必要がある。

「受付1万回あたり」の計算方法

年間受付回数は2021年3月1日〜2022年2月28日で計算する

各種届出について

地域支援体制加算1は、調剤基本料1、かつ現時点で地域支援体制加算を算定していれば届出不要
後発品体制加算は区分変更がなくても届出が必要

地域連携薬局との比較

要件の数は地域連携薬局の方が多い。
次の改定では地域支援体制加算の要件が増えることも視野に入れておく必要もある

連携強化加算

地域支援体制加算を算定している薬局で算定可能
要件)
災害や新興感染症発生時の医薬品共有などの体制
地域の協議会または研修等への積極的参加(努力義務)
災害時等に対応可能な体制を確保していることをHP等で周知
災害時等に医薬品供給等の対応を行う
自治体からの協力要請時に必要な対応を実施
→PCR検査の実施が原則必要となる。(令和4年4月時点)

後発医薬品調剤体制加算

2023年末全ての都道府県で80%の目標値を目指した内容
後発1 15点75%→21点80%
後発2 22点80%→28点85%
後発3 28点85%→30点90%
減算 ▲2点40%→▲5点50%

リフィル処方箋

投与日数上限のある薬剤(新薬、向精神薬等)、湿布薬は対象外
総使用回数は3回まで
前回の調剤日を起点とし投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とする

薬剤調製料

これまで調剤料となっていたもの。
内服薬
日数に応じた点数から日数に関わりなく24点に変更

自家製剤加算

錠剤分割20点/7日→4点/7日
「割線のある錠剤」という要件はなくなるが、均一性を担保できるかなど、都道府県ごとで判断が少し異なる可能性も考慮しておく

重複投薬・相互作用等防止加算

点数は変更なし。適切な手帳の活用実績が相当程度必要。→60%程度?

外来服薬支援料

一包化加算が見直され外来服薬支援料に見直される

電子的保健医療情報活用加算

オンライン資格確認の体制整備・活用への評価
算定要件:オンライン資格確認により患者の薬剤情報等を取得した上で調剤

服薬情報提供料

入院時の持参薬整理、情報提供が評価対象となる
服薬情報等提供料3 50点(3月に1回)

服薬管理指導料

来局時の情報収集のみならず、服薬フォロー等を通じた日常への介入が求められる
3月以内に再来 43点→45点
それ以外 57点→59点
特養 43点→45点
オンライン 43点→ 3月以内に再来45点、それ以外59点

オンライン服薬指導

オンライン服薬指導の対象となる処方箋の制限が撤廃され、算定回数の1割上限の施設基準も削除
3月以内に再来 45点
それ以外 59点

薬機法改正のポイント

オンライン服薬指導の実施要件。ビデオ通話、薬剤師の判断責任に基づき実施、かかりつけ薬剤師による実施が望ましい
初診オンライン診療では麻薬、向精神薬等、基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日以上の処方は行えない

調剤後薬剤管理指導加算

インスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点で見直し
30点→60点

服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師以外の対応)

かかりつけ薬剤師が対応できない場合に当該薬局の他の薬剤師の対応で算定
59点

服用薬剤調製支援料

服用薬剤調製支援料2について、減薬等の提案により処方された内服薬が減少した実績に応じた評価へ
重複投薬等の解消の実績有 110点
それ以外 90点

在宅患者緊急薬剤管理指導料

主治医以外の保険医の求めによっても緊急訪問による算定が可能になる。

Q&A

Q.処方箋の原本確認は薬機法改正に伴い緩和されたのか。

A.薬機法の改正で、コピー、ファックス、メールでの処方箋は原本と見なすことが可能になった。
ただし、原本を受け取った段階で、記載内容に間違いがないか、加筆されていないかは確認する必要がある。

Q.在宅業務を行う上での数値目標(定量評価)はどのようなものがあるか。

A.新規獲得者数が考えられる。2人獲得すれば地域支援体制加算の要件である24人/年を満たすことができる。
また、オンライン服薬指導が在宅でも認められるようになったので、行ってみてはどうか。

Q.対人業務で数値化しやすい(算定しやすい)加算は何があるか。

A.緊急訪問、重防加算などがある。重防加算は残薬調整という側面、高齢者での相互作用のチェックとして重要と考えられる。

Q.対物業務から対人業務へ変わったが薬局の日常業務として具体的にどのような変化があったか。

A.調剤を行う前に、処方箋記載内容の妥当性を確認する必要があるため、処方箋の受付を薬剤師を行っていく必要があるように思われる。
そのためには薬剤師が事務方の業務を理解する事、事務方が現行法で認められている調剤業務を行うことが必要である。

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